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大崎耕土に秋たけて

校歌、図南歌はご記憶があるでしょうが、タイトルは球技部歌の出だしです。次に「治安の夢をこえ行けば・・・」と続きます。

入学当初の15歳の身には、応援の練習で、上級生の罵声におののきながらも、重要な時期のことは秋と書いて、「とき」と読むんだと少し大人になったような気分でした。

地方とはなんだろうか

ユニクロを運営しているファーストリテイリングの柳井正社長の著書を通読した時期がありました。山口県宇部市で実質の開業をして、今はグローバル企業にまで成長させた経営者に、同じ地方の出身者(実際には私はもっと田舎です)として興味を抱いたからです。

氏は、合理的なことに美意識があり、しがらみを捨てる姿勢に圧倒されましたが、以下の記述には躊躇したものです。

「地方って、東京の配給を受けているだけなんです。・・・もともと地方文化っていうものはないんじゃないですか。ほんとに昔なら、地方から文化が生まれたかもしれないですけれども、戦後から今に至るまでは、ほとんど発生していないでしょう。」

(「個人的なユニクロ主義」2001、柳井正、糸井重里著)

転勤を重ねる中で、地方の中小企業には地域の文化を担っているとの思いがありましたが、このように一刀両断されると、簡単に反論できない自分がいました。また、地方の経済団体の長の、「都市圏は潤っているが、その恩恵は乏しいもので、地方の優秀な人材は卒業しても、戻ってこない。人材の供給基地みたいになっている。」 というコメントを聞いて、残念との思いしか残せませんでした。

地方の価値とは

きれいごとで言えば、地方分権(ある意味では、地域での集権)が議論される中では、地方の重要性は論を待ちません。

でも、その価値を、都市圏の出身者が多い東京で簡明に主張することは、意外に難しいものです。山林も含めた国土の保全、食料安全保障、観光資源、産業の集積、リスクの分散、エネルギーの供給など、いくらでもあげられます。 特色のある地域ならば、これですと言いやすいのですが、人口減少の著しい町や過疎の町になると、もっと難しくなります。

考えあぐねていたのですが、地方の価値を評価するのは経済的な合理性の尺度だけでなく(あるに越したことはないが)、そこで暮らし、なりわいを立てている人、その地域を愛する人の思いの強さの集積にこそ意味があると。 災害復興や地方創生で力を発揮するのは、その地域への思いの強い担い手であり、周辺であってもその地域を愛する人たちだと思っています。

柳井氏はそう言ってはいますが、ファーストリテイリングの本社はいまだ山口県にあります。合理的な意思決定の裏側には、説明しにくい地域への思いもあるのではと勝手に推測しています。

秋たけて

大崎が元気でいてくれるのは、同窓生の励みになります。たまには集って、郷愁だけでなく、郷土への思いを語りましょう。今年の総会は思いを語りましょう。今年の総会は青木さん(平成24年卒)の公演もあり、華やかなものになり、応援したいものです。

秋たけて、皆さまのご参加をお待ちしています。

令和6年6月
在京古高同窓会
 会長 伊藤健二
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